City of Men(2007)/シティ・オブ・メン
【原題】Cidade dos Homens 【邦題】シティ・オブ・メン(2008年8月9日公開)
【あらすじ】ブラジル、リオデジャネイロの貧民街区・ファベーラ。そこで一緒に生まれ育った2人の少年、アセロラとラランジーニャは幼いときから大の親友同士。アセロラ(ダグラス・シルヴァ)はすでに2歳の子供を持つ父親に。ある日、ラランジーニャ(ダルラン・キュンハ)の元に、長い間行方不明だった父親が戻って来た。そして、そのときから2人の友情が壊れ始める…。父親との生活を優先するようになったラランジーニャは、アセロラと距離を置くようになる。そして、取り残されたアセロラは、地元のギャング・グループに入ってしまう――。過酷な環境下で成長してきた17歳の少年の物語。2003年公開作『シティ・オブ・ゴッド』に続く、第2章。前作の監督、フェルナンド・メイレレスが製作を担当。(@Cinemacafe)
生き抜くには銃か友か

製作は「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス。
監督はメイレレスの長きに渡るパートナー、パウロ・モレッリ。
「シティ・オブ・ゴッド」も印象に残るのだけれども、
私はどちらかといえば、この「シティ・オブ・メン」の方が好きかもしれない。
この作品の方が、光が見えたからかもしれない。
ブラジルのファベーラでのギャングの抗争、
暴力、貧困なんていうのは前作でも、描かれてきたこと。
でも今回の焦点は、そことは外れている。
もちろんそれらもしっかり描かれてはいるけれども、
もっと人間としての、人との関わりあいみたいなのが焦点にあるような気がする。
物語は二人の少年を軸に進む。
幼い頃からずっと一緒にいて友達の二人。
しかし、それがギャングの抗争や、昔の事件によって少しずつひび割れていく…。
【友情】というテーマとともに描かれているのが、【父親の存在】。
二人とも父親を早くに亡くしている。
ファベーラでは抗争などで、早くに死ぬ男たちが多い。
結果、父親のいない子供たちが多い。
それと自分自身も一人の父親であるアセロラがうまく絡まっていてうまい。
広がる青い空と海。
相変わらず映像はどこかポップだ。
それでもタフにいきる人々。
どんな悲惨に見える場所にだって、人々は生きているし、
そこで希望を見出して、光を見出して生きているのだ。
☆☆☆☆<4.5>
公式サイト
http://cityofmen.asmik-ace.co.jp/
City of God (2002)/シティ・オブ・ゴッド
【邦題】シティ・オブ・ゴッド【原題】CIDADE DE DEUS
【あらすじ】“シティ・オブ・ゴッド”と呼ばれたブラジル・リオデジャネイロの貧民街を舞台に、暴力と貧困に埋め尽くされた子どもたちの日常を実録タッチで描いた衝撃の犯罪ドラマ。年端も行かぬ少年が殺人に手を染め、やがて街を仕切るギャングへと成長し激しい抗争に明け暮れる姿を壮絶な暴力描写で綴っていく。1960年代後半、ブラジル・リオデジャネイロの貧民街“シティ・オブ・ゴッド”では銃による強盗や殺人が絶え間なく続いていた。そこでは3人のチンピラ少年が幅を利かせている。ギャングに憧れる幼い少年リトル・ダイスは彼らとともにモーテル襲撃に加わり、そこで初めての人殺しを経験すると、そのまま行方をくらました。一方、3人組の一人を兄に持つ少年ブスカペは事件現場で取材記者を目にしてカメラマンを夢見るようになる。70年代、名をリトル・ゼと改めた少年リトル・ダイスは、“リオ最強のワル”となって街に舞い戻ってきた…。(@allcinema)
ブラジル リオデジャネイロ 神の街
暴力も銃もドラッグもすぐそこにある日常を駆け抜ける
少年たちの 事実にもとづく物語


フェルナンド・メイレレス監督の作品。
私は、「ナイロビの蜂」から先に入ったんだけど、
これは観たいと思いつつ、いっつも後回しにしてました。
それで、ようやく観たわけなのだけれども…。
これを見る前にもういくつも
ブラジルのこういった現状を見たせいか(映画でね)、
衝撃、とまではいかなかった。
でもあんなに小さな頃から銃を持って、
人の命の重み、なんてものを感じる暇もなく、
無邪気にバンバンッと撃ちまくる。
"悪いこと"なんていう認識もないままに…。
なんともぞくっとしちゃった。
無邪気で無垢だからこそ残酷だ。
誰か頭(リーダー)が死んでも、何ひとつ変わりやしない。
頭が変わるだけで。
青空がまぶしくて、海が綺麗で、
カラフルでポップな映像がやけにリアルで、
だからこそ余計に哀しさを生み出す。
☆☆☆☆
公式サイト
http://cidadededeus.globo.com/
FAVELA RISING (2005)/ファヴェーラの丘
【邦題】ファヴェーラの丘(2008年4月5日公開)
【あらすじ】“ファヴェーラ”と呼ばれるリオデジャネイロの危険なスラム街を舞台に、“アフロレゲエ”というグループを結成し、音楽やダンスを通して麻薬や暴力に向かわない子どもたちの成長をサポートする元麻薬売人の男性の活動を追った音楽ドキュメンタリー。(@allcinema)
リオデジャネイロ、ブラジル
スラム街で生まれた希望のリズム

【ファヴェーラ】
19世紀、戦争で戦った兵士たちが、丘陵地帯に仮住居を構え、政府からの正式な住宅提供を待ったものの、政府からの提供や認可が無かったため、結果として不法占拠となってしまった住宅街。ファヴェーラの語源は、先住民達の祖国にあった丘の名前であるとか、生息していた植物の名前であるとかの説がある。(公式サイトより引用)
観終わったあとに、しっかりと心に残る作品でした。
ブラジルのスラム街のひどさや、腐敗した軍事警官のひどさ、
問題があっても無視して何もしようとしない政府の様子なんていうのは、
以前にも「バス173」や「カランジル」なんかでも目の辺りにしてきたけれど、
改めて見るとまたひどいものです。
でもこの映画の焦点は暗闇に当てられたのではなく【希望】だ。
この映画の主な舞台となるのが、スラム街の中でも特に危険だといわれてるヴィガリオ・ジェラウ。
紛争地帯よりも死人の数が多くでる街。
そして子供たちがあこがれるのは、ドラッグディーラーやギャング。
子守唄で寝る代わりに、銃声と悲鳴で眠りに落ちる子供たち。
リオ・デ・ジャネイロというとカーニバルなんかで陽気なイメージしかないけど、
一皮向けば裏はこんなにも閉ざされてて、暗闇の中にある。
軍事警察はロクでもないし、罪もない人々が理由もなく殺されていく。
こういったダークサイドというのはどの国にでもあるのだろう。
けれど、目の辺りにするとやっぱり胸が痛む。
そんな地域で育った一人の青年に焦点は当たる。
元ドラッグディーラーで、ギャング同士の紛争なんかで何人も友人は死んでる。
暴力を止める方法はないかと考えに考えぬいて彼が出した答え…。
それが【音楽】、【アート】だった。
暴力を暴力で返しても何の変化にもならない。
憎しみを憎しみで返しても何も生まれない。
でも、煮えたぎる怒りはある。
それならばその怒りも悲しみもすべて音楽へと込めてしまおう。
そんな感じで始まったグループ、"Afro Reggae"。
数人で始まったグループが後にあれほど大きくなろうとは…。
音楽っていうのはこうして生まれていくんだな、と。
そして音楽と人々の生活はいつだって繋がってるのね。
このグループの第一人者であるアンダーソンという男の、
その揺るぎない思いと強い信念には、観ながらなんとも心を揺すぶられた。
パーカッションのセッションや、ダンスレッスンなんかを通しながら、
子供たちに文化や教育の大切さを教えていく。
何より、彼らが【等身大】となっていることは大きいと思う。
今までの彼らの等身大はドラッグディーラーやギャングしかいなくて、
道もまるでその一本しかないように思えた。
でも、アンダーソンたちが作り出した新しい【未来】。
アンダーソンという人物が、このコミュニティーにとって、
どれだけ大きな人物かということが話が進むにつれ更に深まっていって、
そんなのに関わらずただわが道をいっている彼のまっすぐさというか、
情熱というか、思いやりというか、そんなものに強く惹かれました。
たった一人でも世界は変えることができるのだ。
と、思わせてくれる。
是非是非観てください。
☆☆☆☆☆
公式サイト
http://www.nowonmedia.com/favela/
Carandiru (2004)/カランジル
【邦題】カランジル
【あらすじ】ブラジル・サンパウロにあるカランジル刑務所に、収監者たちのエイズ予防活動のため、1人の医師がやってくる。南米最大の規模を誇るその刑務所では 4000人の定員をはるかに上回る数の囚人たちが詰め込まれ、すし詰め状態の中で毎日を暮らしていた。たとえ結核患者が発生してもそのまま隔離もされず、また囚人同士の同性愛も常態化し、エイズも蔓延していた。ある日、囚人同士の些細ないさかいが、見る見るうちに、刑務所中を巻き込む暴動騒ぎにまで発展。やがて300人の武装兵たちが所内に突入し、囚人たちを見境なく銃で撃ちまくり、あたりはすっかり惨劇の場と化してしまう……。
前に観たドキュメンタリー「バス174」で刑務所のひどい状況というのは齧るほどに観たけれど、
これは実際にあった刑務所、カランジルを元にしたものである。
ドキュメンタリーではないけれど実話を元にしてある。
まずは刑務所が刑務所に見えなくてびっくり。
どこもここも溢れてて、日本の刑務所で見られるような光景は皆無。
4000人しか入らないところに7500人も入ってるんだもの。
缶詰状態で、明らかにどこにもケアが行き届いていない。
囚人たちをどうにか閉じ込めているだけでいっぱい、いっぱいというところ。
これだけの囚人がひとつの刑務所に入れられているのも問題だし、
実際入ってしまうと釈放までの時間なんかもきちんとされていないように思える。
これはブラジルという国の法律にも問題があるのか。
とにかく、「バス174」でも思ったけれど、根が深い。
刑務所ものだからちょっと過酷なシーンを想像してたのだけれども、
前半はひどい状況ではあるものの目を塞ぐようなシーンは全然ない。
一人の医者の目を通して、囚人たちがなぜ刑務所に入ったのかを淡々と綴っていく。
確かに囚人たちは罪びとである。罪を償うことが必要なのは当たり前だ。
でもその囚人たちも一人の人間であり、家族もいる(いないものもいるだろうけれど…)。
そんな彼らの物語を綴ることによって彼らの顔が見える。
そんな風に描かれたあとだからこそラストはなんとも…。
鎮圧という名の虐殺は、どの国でもある。
国が軍隊という名の元で、"鎮圧"という言葉の元で虐殺する。
武装兵たちは見境もなく囚人たちを殺していく。
明らかに抵抗をしていない彼らを、どこか愉しんで殺しているように見えた。
悪はどちらか。何が正しく、何が間違ってるのか。
どこまでもぐるぐると取り巻く闇に吸い込まれそうになる。
こういう映画は観る価値は絶対にあるけれど、
2度は観たいとはどうしても思えない。
☆☆☆☆
Bus 174 (2003)/バス174
【邦題】バス174
【原題】Ônibus 174
【あらすじ】2000年6月、リオデジャネイロ。<174路線>バスに乗り込んだサンドロは強盗に失敗、乗客11名を人質に取り、拳銃を手にしてバスに立てこもった。通報を受け、警官が現場に急行する一方、ブラジル中のメディアも殺到、事件は報道規制のないままリアルタイムで中継され、全国民がその動向を固唾を呑んで見守った。ジョゼ・パジーリャ監督は、このバスジャックの一部始終を検証するとともに、犯人サンドロが事件を引き起こすに至った背景を詳細に追っていく。そして次第にブラジル社会のストリートチルドレンをめぐる問題が大きく浮かび上がってくる。
ブラジル社会の裏側をえぐり出す
「シティ・オブ・ゴッド」を凌ぐ真実の衝撃
あまりにも色々なことを考えすぎて、一体どこから初めていいのやら。
まず、実際の事件の映像があそこまではっきりと撮られていることにびっくり。
事件が起こってるすぐそこにカメラマンがたくさんいて、
警察もすぐそこにいる。
目の前で起こっている事件の解決へのあまりもの効率の悪さ。
映画が始る最初、ブラジルの海の辺りから綺麗な町並みが写され、
そこから丘を下るようにして移りだされたスラム街がとても印象的だった。
事件の実際の映像とともに検証されるハイジャック犯の素性。
彼の生い立ち、周りの人々、そして数々のインタビュー。
それがうまい具合に合わさっていて、実際に起こった事件のはずなのに、
あまりにも衝撃が強すぎてなんだか現実味が私の中から薄れてしまった。
それだけこれが現実として起こったことがなんとも恐ろしい。
そしてブラジル社会に根強くある社会問題について考えてしまう。
でも、もっと深く考えれば、ブラジルだけに留まらないのだと思う。
なぜブラジルがそうなってしまったのか、糸は次々と広がるばかり。
溢れるストリートチルドレンの現状、
警察の横暴さ(犯罪行為とも取れる扱い)、
差別問題、そして牢獄の現状。
すべてにおいて悪循環な環境。
この現状は今も変わっていないのだろうか?
見終わったあとになんともいえない空白感とともに、
どっしりとした錘のようなものを感じた。
公式サイト
http://bus174.jp/
The Middle of the World (2004)/oi ビシクレッタ
【原題】O Caminho das Nuvens
【邦題】oi ビシクレッタ
【あらすじ】ブラジル北東部のパライーバ州。ここに暮らす失業中のトラック運転手・ロマンは、家族を養うために月1,000レアル(約400ドル)稼ぐ仕事に就くと決意、一家で遥か南のリオデジャネイロを目指すことに。しかし、彼らの移動手段はなんと自転車4台。それに、ロマンと愛する妻ローゼ、そして6ヶ月の赤ん坊を含む5人の子どもたちが乗り込み、いざ、リオへ向け旅立つのだったが…。(@allcinema)
ブラジル縦断。
家族は7人、自転車(ビシクレッタ)はたったの4台?!
リオまで3,200km、自転車で旅した家族の実話


自転車で3200km。およそ5つの州を越えて!
車でも大変なのに、それを家族引き連れて自転車でとは。
もうクレージーとしかいいようがないけれど、
そんなむちゃくちゃな旅からみえてくる家族の絆。
まず、声を大にしていいたいのが、奥さんがエライ!!
女が強い家庭はうまくいくというけれど、本当にそれ。
根拠もなくむちゃくちゃな旅を始めた夫に、
最後まで(…途中何度挫折しそうになっても)ついてく姿。
凛とした姿と共に、子供を見つめる時の優しい笑顔が印象的。
本当に彼女なしじゃこの旅は成功および成立しなかっただろうな。
過酷な旅で、食べるものがなくてお腹がすいてることもあるだろうに、
子供たちの無邪気な笑顔ときたら!!
この自転車の旅。
家族を率いてだから大変だということもあるだろうけれど、
きっと家族がいたからこそ成し遂げられた旅だったんだろう。
兄弟の中で一人ういた感じで、父親に反抗するアントニオ。
思春期特有といえばそれまでだけれども、
自己確立とか、性への目覚め、「男」になること。
彼の目の力がなんとなく印象的でした。良い俳優だ。
それにしても、ブラジルだけでなく、
南米全体に広がるこの仕事がないという問題。
あったとしてもそれは家族を支えていけるものではない。
こういう問題の根本的な原因として色んな要因があるけれども、
決して私たちひとりひとりが関係ないものではない。
映画の中で人々が必死に祈りを捧げる姿が出てきたけれど
その圧倒的な空気に、少しだけ怖くなった。
神がどうにかしてくれる。
その思いは、信じているというよりも、
信じなくてはならない、そうでないとやってられない、
そのようにもみえた。
とにかくいろんな意味でパワフル!
家族の愛があったかく、泥臭さが良かったです。
公式サイト
http://www.espace-sarou.co.jp/oi/
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